生協DX学習会レポートvol.1 ~「近未来の小売と顧客体験」を考える~(前編)
こんにちは!DX-CO・OPプロジェクト note担当のさきむらです。
このnoteではオイシックス・ラ・大地株式会社の奥谷孝司さんを講師としてお招きした生協DX学習会の様子をお届けします!
はじめに:生協DX学習会とは?
デジタルを活用した組合員の「あたらしいくらし」の実現を目指す「DX-CO・OPプロジェクト」では生協職員を対象に、月に1回オンライン勉強会「生協DX学習会」を行っています。
オンラインでの対話を通じて、生協の取り組みや社会のDXの状況を知り、生協の今後のDXをどのように推進していくかを学び・気づきを得られる場を目指した取り組みです。
今回は、食品宅配を手掛けるオイシックス・ラ・大地株式会社の奥谷孝司さんの「小売の近未来」のプレゼンを振り返ります。
プレゼン「場の革命 「顧客と繋がる場」を基点としたマーケティング戦略」
● 海外と国内におけるビジネス変化
新型コロナウイルス感染症の影響が大きい欧米では、日本以上に企業と顧客との向き合い方が変わってきています。CES2021(アメリカで開催される世界最大のテクノロジー展示会)でも、自分がそのブランドを信頼しない限りは、85%の顧客が想起しないというアメリカの調査結果もあります。生協の場合は「安全安心な食品を届ける」という責任があります。当たり前にも思われがちですが、それをきちんとやっていくことが企業の信頼につながります。
また消費者が望むものとして「真実と透明性」「公平・平等な体験」「態度を見せるブランド」「ポジティブな影響を与える製品」「囲い込みではなく(自ら入りたいと思う)インクルージョン」の5つが挙げられますが、それは現在D2C(※)が取り組んでいることです。
国内での消費行動変化を見てみると、世代別では今までEC利用に消極的と見られていた60~70代でEC化率が向上しました。業界別では4~5月に衣料品で一気にEC化率が上がり、引き続きEC化率は高く推移していますが、6月以降は再び実店舗へ消費が戻っていきました。一方スーパーやホームセンターでは年間を通じて実店舗利用がほとんどですが、オンラインを活用した顧客とのつながりを考えなくてはいけない時期に来ています。
※D2C:(Direct to Consumer)メーカーが自社ECサイトなどで顧客に商品を直接販売するビジネス形態
●顧客との関係性を維持できるビジネスが生き残る
アメリカで注目企業の一つがPelotonです。同社はIoT型エクササイズ用バイクを販売し、非常に業績を伸ばしています。
Pelotonのマーケティング戦略は顧客関係の維持を目的としたリテンション型であることが特徴です。自宅やホテルのジムなどにPeltonのIoT型スマートバイクを配置しておくことで、置いてある場所があればいつでも顧客はPeltonと繋がることができます。商品、ハードウェアの売り切りで、顧客接点を切るのではなく、サービスとしてコンテンツを配信しながら継続的に顧客との関係性を保つ。これが既存ビジネスモデルとの違いです。
●求められるのは事業モデルの「デジタル変革」
DX(デジタルトランスフォーメーション)は「デジタルによる事業モデルの変革」であり、顧客と直接繋がり、継続的に関係性を維持するD2C思考が必要です。安全安心の商品を届けて「おいしかったね」と言ってもらうだけではなく、顧客と企業が繋がっていることの価値を生み出すためには、パーソナライズも含めて顧客にどんな提案ができるかが重要です。
もう一つ重要なことは、顧客だけでなく組織も変わる必要がある点です。DXを成功に導くために考えてもらいたいことは、以下のような方程式です。「DX=EC2 (二乗)」、Eは従業員(Employee)、Cはカスタマー(Customer)です。顧客だけでなく組織そのものがデジタル活用を推進し、変わっていかないと真のDX体験の実現はないという意味です。これからは顧客と従業員の両方にとって有用なデジタル体験を提供することが求められています。
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『顧客だけでなく組織も変わる必要』…グサッ!
確かに、自分たちのマインドや働き方が変わる必要がありますよね。
次回は本学習会のグループワークの様子をお届けします!