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総配達時間15%の削減を実現! 配送コース最適化ソリューションの実証実験で見えてきたこと

DX-CO・OPプロジェクトの取り組み紹介シリーズの第4弾。今回は「配送コースの最適化」についてご紹介します。企画担当のすどうさんに、コープあいちでの実証実験についてお話を伺いました!

<今日お伝えしたいこと(サマリー)>
・配送の効率化を目指す取り組み
・実証実験では15%の時間短縮に成功
・効果や課題を精査して導入に向けての検証を進めます!

生協の配送でも「効率化」が重要

生協では組合員さんに注文いただいた商品を、グループや個別に組合員さんの元までお届けしていますが、ここで不可欠となるのが配送業務です。

一般的な宅配業者と同様に、生協の配送でも「配送担当者が限られた労働時間の中でより生産性の高いコース設計を行えるか」が大きな課題となります。そこで最適化された生産性の高い仕組みを検討することが、今回の実証実験の目的です。

現状では、配送の効率化・最適化のためのシステムを導入している生協は少なく、多くの場合は現場の管理者などの手作業でコースを作っています。しかし、手作業によるコース設計はそれだけ手間がかかりますし、その結果作り出されたコースが最も効率的とは限りません。そこで、より生産性の高いコースを設計するためのシステムのあり方を検討する必要があります。

配送時間や走行距離の短縮により、職員の負担軽減を目指します。そのことで組合員さんへのサービス品質をより向上させることにつながると考えています。

そこで、株式会社オプティマインドの配車計画AIソリューション「Loogia(ルージア)」を使い、東海コープ事業連合のコープあいち 三好センターで行った配送業務効率化について、企画担当すどうさんに説明してもらいました。

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実証実験では時間ベースで15%の削減を実現

今回の取り組みは、もともと宅配リノベーションの施策として2020年度にスタートしたものです。検討期間を経て、2020年12月から実際の取り組みを開始しました。実証実験では、システムを使って配送コースを設計したときに、どのくらい生産性を上げ、コスト削減ができるのかを検証しました。

AIを活用したシミュレーションイメージ(左:既存ソフト 右:AI使用例)

配送業務におけるコストは時間と距離で考えることになりますが、1回目の実証実験では総配達時間で22時間34分(15.0%)削減、総走行距離は54km(9.7%)削減を実現できました。

また、配送コース数も、既存の22コースから、Loogiaを使ってコースを設計することで19コースに削減できました。3コース減ったことで13.6%削減することができました。つまり、3人分の配送の人件費を削減できることになります。

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最初の実証実験で見えた課題とは?

最初の実証実験を通して、いくつかの課題も見えてきました。たとえば、配送先の件数が多いマンションなどでは、同じ建物にもかかわらずコースが分かれてしまうケースがありました。同じ場所であればコースをまとめたほうが配送作業はしやすいので、2回目の実証実験の際は1コースにまとめるようにしています。

また、作業時間を当初はグループ配送10分、個別配送5分と設定していたのですが、実際には担当者によるばらつきが大きく、この設定では少々厳しいことがわかりました。2回目は、グループ配送は10分のままで、個別配送は6分と少し長い時間を確保するようにしました。

コースの削減数に余裕をもたせたほうがよいことも見えてきました。3コースの削減では現場の負担が大きくなることから、2回目は削減コース数を事前に設定した上で実証実験を実施しています。

さらに、Loogiaは配送コースの設定には停車位置のデータを使うのですが、PCから地図上の場所を指定するだけでは実際の停車位置とのずれが生じてしまうケースが発生しました。そこで、コースごとに元データを整備するなどして、できるだけ実際に停車している場所で登録できるように調整を行っています。

これらを踏まえた2回目の実証実験が2022年3月に終わり、今後はいよいよ本番導入の段階に突入します。

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目標は全センターおよび全国の生協導入

今回の導入は、コープあいちの3センターが対象となります。3センターで実際に使ってみて情報や知見を蓄積しながら、その先の導入について検討していくことになりますが、いずれは全センターで導入したり、全国の他の生協にも広がっていけばいいなと思っています。

ただし、生協は一般的な運送業者とは配送のスタイルが根本的に異なるため、一筋縄ではいかない部分も少なくありません。その日に配送対象となる人があらかじめ決まっている点が最大の違いですが、一般向けの配送システムはこのような生協のスタイルに最適化されているわけではありません。

また、宅配の基幹データ自体は各生協で独自に積み上げられたものなので、形式が統一されていないという点も課題になります。たとえば、今回のシステムでは配送先のデータとして停車位置を使っていますが、既存の配送の仕組みの中では、多くの生協が組合員の住所で配送データを管理しています。システム導入にあたっては、このような既存データに合わせた整備が不可欠になります。

本当に生協の配送に合わせた仕組みを用意するなら、一からシステムを作るほうが理想的なのかもしれません。独自開発でシステムを作るとなると、コストの問題もあり、そこまで費用をかけられないケースも多いと思います。そのような場合には、Loogiaを使った方法はかなり期待できると感じています。

実証実験は1000件弱でしたが、それでも目に見える成果を出すことができました。実際には1センター当たり5000~6000件の配送先を持っているケースが多いので、より広範囲に展開できれば、トータルでかなりの効率化につながるのではないかと期待しています。

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インタビュー時の優しいお顔のすどうさんを公開🙌

さて、DX-CO・OPプロジェクトで取り組むプロダクト紹介第4弾はいかがでしたでしょうか。現状全国の生協では、独自の宅配のコース設計がされています。AIを使った効率化が実現すれば、職員の時間的・精神的ゆとりが生まれ、さらに組合員さんへのサービス品質向上につながると思います。
この春、すどうさんはコープさっぽろに帰任となりましたが、今後も是非DX-CO・OPプロジェクトでの経験を活かしていただき、いつかまたお仕事ご一緒できる日を楽しみに私も頑張っていきます~! すどうさんありがとうございました。
ご意見・ご感想などありましたらコメントをお願いします!

noteではこれからも全国の生協でDX-CO・OPで取り組んでいるプロダクトやどんなふうにプロダクトを作って改善しているのかをプロジェクトメンバーに登場してもらい紹介していく予定です。お楽しみに!

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