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<後編>『いいやつ』が集まって物流の課題にチャレンジしているパートナー会社へ行ってみた

前編で「配送コース最適化」を提供する株式会社オプティマインド流マインド(言いづらい)をお伺いしました。

後編では、AI技術や生協との取り組みについてのぶっちゃけ話について聞いてみました。
それでは、いってみましょう!

コース最適化を提供するためのAI技術

ー大変失礼で恐縮ですが、「コース最適化」ではどんな技術を使っているか、文系にもわかりやすく説明をお願いします。

髙田:
文系にもわかりやすく…(笑)、できる限り頑張ります!
ルート最適化で使っているアルゴリズムは『決まった時間の中でなるべく効率のいいものを探すもの』です。車両の台数や人の勤務時間等、与えられた条件の中で走行距離の短いものを探すという問題ですが、『もっともいいもの』を探すのが、ものすごく難しいんです。理論的には規模が大きくなるとコンピューターでも現実的な時間では解けない問題とされています。そんな中でコンピューターで解くにはどうするか、そこそこの時間でなるべく良いものを探せるようなアルゴリズムを提供しています。

小川:
現在は100箇所の訪問先は10分程度でルート検索していますが、100の階乗通りのルート候補がある中で、押しなべて比較をして、、の作業を考えると、本当は1日あっても計算しきれないんです。だから、時間があればあるほど無限に計算できるけれども、「このくらいあればよい」の見切りをつけることがポイントになっています。

(株式会社オプティマインドYouTubeより)

髙田:
これはアタリをつける感覚です。人が見たときの感覚で「北に行ったあと南に行って、また北に行くルートはないだろ~」といった感覚をアルゴリズムに落とし込んでいます。

ーほ、ほう…! 人の感覚ではないなと思っても、アルゴリズムで計算したとき「パターンが無限にある」ということですね。

髙田:
このアルゴリズムを現場の業務に落とし込んだ時に、ルートのパターンだけでなく、勤務時間や積載量の条件がついてくると思います。そうなるとどんどん計算は難しくなる。制約を満たしたアルゴリズムを作ることに取り組んでいます。

ー最適化に取り組む中で学問と現実のギャップがあったと聞いていますが、技術面から見るとどのくらい差は埋められているのかの現状評価を教えてください。

髙田:
個人的な見解としては『まだまだこれから』。評価してもらって導入している企業があるという意味では埋めつつありますが、実際、最適化が使えるはずなのに使われず、人手で頑張っており、多種多様な制約がある現場が世界にはたくさんあります。

ー進化は続くということですね! そういえばオプティマインドさんは「企業を超えたデータの共有」をしているようですが、実際他企業のと取り組みに生協のデータは活かせているんでしょうか?生活協同組合なので、みんなのためになっているか気になっています…

小川:
データ自体はまだですが、考え方や課題を他で汎用的に対応するにはどうすればいいかの、生協の事例を活かすことはできていると思っています。

生協と取り組んでみて

ーその「考え方や課題」に繋がると思いますが、今までの取り組みしてきた企業と生協との取り組みの違いはなにかありますか?

小川:
2点大きな違いがあると感じています。

1つ目は計算規模が大きいことです。現状のコース最適化では480件がルートを出す上限です。しかし、生協は2万件を超える配送場所があり、その分ルートを作成する必要があります。件数が多い分、アルゴリズムで解く問題の難易度が高くなっています。

2つ目は一週間分のルートを作成することです。
現在のLoogiaの画面構成やデータの見せ方では改善の余地があり、これからの課題として進めて行こうと思っています。
また、通常はフィードバックも1日単位でするのですが、1週間単位となるので規模も大きく、時間軸の考え方が異なります。

Loogia画面例

ーでは…ぶっちゃけ、生協と取り組んで大変だと思ったことってありますか?

小川:
組織が大きいし、組織形態も特殊だと感じました。それぞれの生協で使っているシステムや現状のフロー、データの粒度など別組織だからこその特有の難しさがありますね。
また、他の事業連合や生協ではそれぞれ事情も異なるので、生協に展開を図ると考えたときに難しさを感じています。

ー横展開するにもインプット情報の整備が各生協で必要になりそうですね。しかし、多くの生協から問合せを受けている「配送コース最適化」のサービスですので、今後の進化に期待しております!

オプティマインドの今後の展望

ー学問と現実のギャップについて、ビジネス面からみると埋められているのはどのくらいとお考えでしょうか?

小川:
お客さんから指摘をもらうことが多く、『まだまだ』と感じています。現状のサービスでは実社会にマッチしているとは言い切れません。ルートの最適化をしても、荷物の積み方等は別課題としてあり、2つを組み合わせたものでアルゴリズムを利用して計算すると軽く1年かかってしまうんです。

ー1年かかる?!!

髙田:
組み合わせが、ものすごい数になってしまうんです。やれることはまだあるなと感じます。

ールートと積み方の2大問題がAIで解決できると物流の未来がもっと明るくなりそうですね。では、最後に今後のオプティマインドさんの展望を教えてください!

小川:
長期的な視点では、多くの企業がLoogiaを導入し、そのデータを活用して「どこにどんな拠点を置くか」「信号の適切なタイミング」等、最適なまちづくりを実現出来るのではと思っています。
短期的には、現場とのアンマッチをどう埋めていけるか、足元のカイゼンをしていきたいです。

どんな質問も丁寧にお答えいただきました小川さん

髙田:
また、アルゴリズムで使うための住所・現場での作業時間等のインプットデータを取得するのが大変だという課題があります。いかに簡単にそういった情報を取得、整備できるかも今後取り組んでいきたいと思っています。

ー人がやらなくていいところはやらないように、ということですね。
テクノロジーを使った『温かみのある世界』の実現ができそうでわくわくしました!
インタビュー、お答えいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!

オフィスの一角に「現場百編」の文字が…
現場の視点に立ったサービスの提供、とても大事だなと改めて感じる機会となりました。

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