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生協DX学習会レポートvol.3~「情報システムの変革〜2025年の崖」~(前編)

こんにちは!DX-CO・OP note担当のさきむらです。
このnoteではウルシステムズの漆原茂さんを講師としてお招きした生協DX学習会の様子をお届けします!

生協DX学習会とは?
デジタルを活用した組合員の「あたらしいくらし」の実現を目指す「DX-CO・OPプロジェクト」では生協職員を対象に、月に1回オンライン勉強会「生協DX学習会」を行っています。
オンラインでの対話を通じて、生協の取り組みや社会のDXの状況を知り、生協の今後のDXをどのように推進していくかを学び・気づきを得られる場を目指した取り組みです。

ウルシステムズの漆原茂さんのプレゼン「これからのプロダクト・サービス開発を語ろう」では、技術、プロダクト・サービス開発視点でのDXについて説明していただきました。

【漆原茂 プロフィール】
ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長。
東京大学工学部卒業後、沖電気工業株式会社に入社。1989年から2年間スタンフォード大学コンピュータシステム研究所客員研究員。2000年7月ウルシステムズ株式会社を起業。ULSグループ株式会社、株式会社アークウェイの代表取締役社長も兼任。

プレゼン「これからのプロダクト・サービス開発を語ろう」

●デジタルネイティブ世代に視点を合わせる

これからの生協は、いかに若い世代を取り込んでいけるかが重要なポイントとなってきます。

20代の人たちを見ていると、感覚や文化の違いをまざまざと感じさせられます。インスタグラムのアカウントをいくつも持ち、情報はLINEからしか見たくない、Webサイトにいくのも面倒くさい、もちろん新聞も読まない。そんな世代にとっては、すべての入り口がデジタルなのは当たり前です。

これからは、そのデジタルの入り口を通ってサービスを展開し、リアルにつなげていくことを考えていかなければなりません。さらにこの感覚は、20代だけでなく、30代、40代、50代へと広がっています。

●デジタルサービスを提供する側になる

私たちのようなIT会社も、今まではいろいろなサービスを組み合わせて企業に提供し、それを消費者に使ってもらっていましたが、これからは消費者に直接使ってもらう「B to B to C」「B to B to B to C」というビジネスモデルが主流になっていきます。LINEやNetflix、Facebookなどに慣れた人たちに向けて、同様のシームレスなサービスを提供する側にならなければいけなくなるのです。

そのためには、そのようなサービスが出せる体制、組織、技術を持ち合わせていなければなりません。今まではベンダーにすべてお願いしていたものを、これからは自分たちが思い描いたとおりに、その場でズバッと作れるような環境を作っていけるかどうかが生命線になるのです。

●ビジネスも開発もできる「両刀使い」のチームを作る

新時代に向けたDXを成功させるためには、いろんな意味でディベロップメント(発展)していかないといけません。自社で事業開発しないといけないし、システム開発もやっていかなければいけません。ビジネスと開発の境界線がどんどん曖昧になってきているのです。

ビジネスサイドの人がもっと開発サイドに踏み込み、また開発サイドもビジネスサイドに寄っていかなければならず、両刀使いできるようになることが理想です。ただ「一人ひとりがスーパーマンになれ」と言っているのでなく、チームとしてすべてができるような体制を作ればいいのです。

優れたエンジニアがベンダーにいれば巻き込むのもいいですね。どんな手法を使ってでもいいので、その場ですぐに描いたものを作れるような環境、体制を整えてほしいと思います。

●たくさんの技術を利用・統合すればスピード感を持って作れる

今、ソフトウェアの生産性は急激に上がっています。1人がコードを書ける量は変わっていないのですが、いろんなサービスがAPIで公開されていますし、AIですらすでに学習しているものがたくさんあるので、それらを使えばいいだけという環境が整っています。いろんなものを切って貼って作ればいいだけなので、とりあえずECサイトを立ち上げることも3日くらいあればできる時代になりました。

逆にいうと、数多くのサービスがある中で、全体を見通してそれらを取捨選択するスキルが求められています。具材がいっぱいあるとどう調理しようか逆に迷いますが、実はそんなに難しく考える必要はなく、「型」にはめればいいだけです。ECサイトにはこのパターン、データ分析プラットフォームはこのパターンなど、それぞれのパターンがベストプラクティスとして公開されているので、それを自社に取り入れればいいのです。

このように、もはやベンダーに頼り切ることなく開発できるようになってきています。技術的に難しいところは優秀なエンジニア3人くらいで作って、そのほかの人が既存のツールをうまく使って展開する体制を作れば、かなりうまくいくはずです。

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これからは自分たちが思い描いたとおりに、その場でズバッと作れるような環境を作っていけるかどうかに生命線がある…
スピード感とチーム体制の大切さ。ビジネスも開発もできる「両刀使い」になるにはまだまだ修行が必要そうですが、『どんな手法を使ってでもいい』との漆原さんのお言葉に勇気をもらい、今ある環境やチーム体制を最大限に活用するところから始めたいと思いました!
次回(後編)では、生協DXを成功させるために、メンバーのマインドや文化の醸成、それをやり切れるチームをどう作るかについて詳しく紹介します。お楽しみに!